(台北中央社)中国の重慶市公安局は28日、与党・民進党の沈伯洋(しんはくよう)立法委員(国会議員)を「国家を分裂させる犯罪活動」に従事したとして立件し、捜査することを決めたと発表した。これに対し、台湾で対中政策を担う大陸委員会は、法治文明の最低ラインを超えているとした他、中国には台湾に対していかなる管轄権も持っていないと批判した。
重慶市公安局は、沈氏が台湾独立・分裂組織「黒熊学院」を立ち上げたなどと主張。刑事責任を追及するとした。
これを受け大陸委は、共産党が内部法令を持ち出して台湾の立法委員を罪に問い、立件することを厳しく非難し、中国のいかなる法律やルールも台湾人民に対して拘束力を持たないとした。
また台湾人民は中華民国憲法に基づき、剥奪されない自由と権利を享受していると強調。中国が独立勢力を懲らしめるといった名目で越境的な圧力を加え、台湾社会を分断、威嚇する企ては成功しないとし、台湾の人々は中国の干渉やどう喝などを受け入れないとした。
さらに、中国は最近、台湾人の処罰を相次いで公表し、住民らに通報を呼びかけるなどしており、両岸(台湾と中国)間の交流や往来で予期せぬリスクが大幅に高まっていると指摘。中国の一部機関が台湾人を違法に逮捕または職権を乱用して身柄拘束する恐れがあるとし、訪中前には慎重にリスク評価を行うよう求めた。
その上で、台湾の人々に対し、国家の安全や安定を共同で守る必要があるとし、中国に協力して違法行為をしないように呼びかけた。
中国で対台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は昨年10月、沈氏を「頑迷な台湾独立分子」の名簿に登録したと発表していた。