(ワシントン中央社)中国共産党による台湾への統一戦線工作が絶えず行われる中、台湾台北地方法院(地裁)国家安全保障専門法廷の裁判官、許凱傑氏は現地時間2日、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)に出席し、中国の法律戦や台湾に対する浸透手法を報告した。会合には約20人の議員スタッフらが出席した。
許氏がCECCに招かれるのは初めて。同日午後に中央社の取材に応じた。
報告では主に、中国の法律戦による侵略行動の合法化や実際の武力行使には至らない「グレーゾーン行動」の正当化、台湾に対する浸透手法を解説した。浸透手法として、機密漏えい、組織、社会分断、科学技術の漏えい、選挙への介入、グレーゾーン行動の六つを挙げた。
機密漏えいに関しては、軍人が最初は冗談の状況下で投降取り決めに署名したことで、後に中国側から脅迫を受け、資料を提供せざるを得ないケースが多数発生していると紹介。また、組織を通じた浸透は、同郷会や同窓会、町内会の中国旅行などで主に行われているとした。科学技術の浸透では、背後に中国資本が入っている企業を通じて台湾の科学技術産業をコントロールしたり、スパイを特定の企業に派遣したりするなどして中核的技術を盗み取る可能性があるとした。
中国の浸透行為で台湾で起訴された人数は2022年の28人から年々増加し、24年には168人まで増加した。
許氏は、CECCからの招待はこの問題を米国が重視していることの表れだとの考えを示した。
また、外国政府などのために活動する人物や団体に情報開示を義務付ける米国の「外国代理人登録法」は手本にする価値があるとし、台湾でのスパイ活動を根本から減少させるため、台米間でも防諜訓練において協力できると述べた。
その上で、「戦う民主主義」の概念は非常に重要だとし、「規制が不足すれば権威主義政権に浸透される。規制が多すぎればもう一つの独裁になる」と強調した。