(台北中央社)野党・民衆党が提出した台湾電力(台電)第3原子力発電所(南部・屏東県)の再稼働の賛否を問う国民投票の実施案が20日、立法院院会(国会本会議)で、野党の賛成多数で採択された。中央選挙委員会によって今後、国民投票が実施される。
民進党政権下で脱原発を目指してきた台湾では17日、唯一稼働していた第3原発2号機が40年の運転期間を終えて停止し、「原発ゼロ」となったばかり。民衆党議員団は電力の安定供給確保などを理由として、再稼働の賛否を問う国民投票案を提出した。
民衆党の提案に対し、民進党の立法委員(国会議員)は「屏東の住民をいじめるものだ」「責任を国民に押し付けている」などと批判。民衆党の立法委員は、国民投票は第3原発の即時再稼働を主張するものではなく、安全評価をクリアすることを前提に、運転延長の可否を国民が共同で決めるものだと反論した。
採択された国民投票案の主文は「第3原発が主務機関の同意を経て、安全性が確認された後に運転を継続することに同意するか」。議会第1党の野党・国民党が賛成に回り、賛成58、反対49で採択された。
野党は決議後に同案の再審議を提案し、再審議案を自ら否決した。再審議の提案は一度しか認められていないため、今後、再び再審議を求めることはできない。
国民投票法では、立法院は重大な政策の立法や法律改廃に対し、国民投票が必要だと見なした場合には立法院院会での可決後の10日以内に主文と理由書を主務機関に提出し、国民投票を実施することができると定められている。