(台北中央社)日本とオーストラリア、ニュージーランドの艦艇が25日、台湾海峡を通過した。日本の海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡を初めて台湾海峡を通過したことについて、専門家は、岸田文雄首相が退任前に意図的に行った動きであり、次期首相に手本を示す狙いがあるとの見解を示した。
ニュージーランド海軍は26日、補給艦「アオテアロア」が25日にオーストラリア海軍の駆逐艦「シドニー」と共に台湾海峡を通過したと発表した。日本メディアも複数の政府関係者の話として、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が25日、台湾海峡を通過したと報じた。
中山大学中国・アジア太平洋地域研究所の郭育仁教授兼所長は、海上自衛隊の護衛艦が豪、NZの軍艦とそろって台湾海峡を通過したのかは現時点では不確かだと言及。だが、日本がこのタイミングを狙って艦艇を派遣したのは「計画的な行動」だとの見方を示す。
郭氏は、菅義偉前首相が2021年4月にバイデン米大統領と日米首脳会談を行った際、共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」に言及したことを指摘し、現首相の岸田氏が今、艦船を台湾海峡に派遣したのは当時の共同声明を実践する意味合いがあると分析した。
その上で、岸田氏の退任前かつ中国と日本の軍事関係が悪化している今のタイミングで艦艇を通過させたのは、次期首相に道筋を示し、手本とする狙いがあるとした。中国は大きな反応を示すことはできないものの、新首相に日本の艦艇の台湾海峡通過を常態化させないよう、外交ルートを通じて全力で働きかけるだろうとの見解を示した。
日本は東アジア地域で初めて艦艇を台湾海峡に派遣し、通過させた国となったことから、韓国やフィリピンなどに模範を示す作用があると郭氏は指摘。また、先進7カ国のうち、台湾海峡に艦艇を派遣していない国は残すところイタリアのみとなったことから、この部分でも模範を示す効果があると付け加えた。
政府系シンクタンク、国防安全研究院国防戦略・資源研究所の蘇紫雲所長によれば、近年、これまでに米国、カナダ、英国、フランス、オランダ、ドイツ、トルコの7カ国の軍艦が台湾海峡を通過していた。蘇氏は、今回の日、豪、ニュージーランドを加えて軍艦を通過させた国が計10カ国になったのは前代未聞だとし、戦略的意味が象徴するのは、中国に台湾海峡の平和のメッセージを発信し、現状の変更に反対する姿勢だと語った。