(台北中央社)国民党政権が市民を弾圧した1947年の「2・28事件」で、命を懸けて市民を守った南部・台南市出身の弁護士湯徳章(日本名:坂井徳章)の生涯にスポットを当てたドキュメンタリー映画「尋找湯徳章」(仮訳:湯徳章を尋ねて)が15日に台湾で公開された。14日には台北市でプレミアイベントが開かれた。黄銘正監督は取材に対し「日本とも関わりがある作品。日本の方にもぜひ見てもらいたい」と話した。
湯徳章は日本統治時代の1907年、日本人警察官の父親と台湾人の母親の間に生まれた。警察官を経験した後、日本に渡って法律を学び、司法試験に合格。ふるさとに戻って弁護士になった。2・28事件の発生後は、地域の治安維持に奔走したが、日本人をルーツに持っていたこともあり、当局によって首謀者と見なされ、処刑された。
映画は、湯徳章の子孫や関係者らの証言や資料を集め、足跡をたどりながら、彼の40年の生涯と人物像を紐解いていく。黄監督と連楨恵監督兼プロデューサーが5年をかけて撮影した。
イベントで黄監督は「作品は重々しいかもしれないが、いいものに仕上がった」とあいさつ。連監督兼プロデューサーは「歴史を知ることができれば、心が晴れやかになると感じた。一緒に湯徳章を尋ねましょう」と語った。鑑賞後は監督と来場者らが記念撮影するなどして交流した。
(中村充孝)