(台北中央社)中部・台中市の農業部(農業省)農業試験所は11日、コーヒーの新品種「台農1号」を育成し、農家や企業への技術移転による生産・繁殖に成功したと発表した。台湾でコーヒーの新品種が誕生したのは初めて。平地から海抜約1300メートルまでの地域で栽培が始められており、従来の外来種と比べて生産量が多く、焙煎後の風味はスペシャルティーコーヒーのレベルだとアピールしている。
同試験所は、2024年には全国1216ヘクタールでコーヒーが栽培されているが、海外から導入されたコーヒー品種が台湾の環境に適応しにくく、気候変動の影響で生産量や品質が安定しないといった課題があったことから、新品種を開発したと説明。台農1号は低・中海抜での栽培に適し、平均生産量も台湾で栽培される外来品種の1.2倍になるとし、高海抜地域では品質がさらに向上すると強調した。
焙煎後にはナッツの香りや優しい酸味、濃厚で長い余韻が味わえるとしている。
また盆栽や庭園用の観賞植物としても適していると紹介。葉には機能性成分のクロロゲン酸が一般的な品種の約2倍含まれており、健康飲料などに活用できる他、パックなどのスキンケア商品の原料になり、新たな収入源になることが期待できるとした。同試験所ではクロロゲン酸を効率的に抽出する技術も開発したとしている。
同試験所は、台湾では毎年5万トン以上のコーヒー豆を輸入し、関連産業の年間売上額は400億台湾元(約1960億円)を超えているとし、「台農1号」は台湾市場で大きな発展の余地があるとの見方を示した。

