(台北中央社)映画研究者の川瀬健一さんは長年にわたり、台湾映画を日本に紹介している。中央社のインタビューに応じ、「台湾映画の素晴らしさは、必ずや日本人に伝えなければならない」と話した。
仏教や宗教の研究を行ってきた川瀬さんは当初は中国で調査をしようと考えていた。だが、当時の中国は制限が多かったため、台湾を訪れることにした。これが台湾との縁を結ぶきっかけとなった。
1980年に台湾を訪れた際、台湾と日本は異なる点が多くあることに驚いた。多くの作品が日本では見られなかったものの、親しみを覚えた。そこで台湾に残り、庶民の生活を体験して、あらゆるものを自分で感じることに決めた。
この期間、川瀬さんは映画から台湾を理解しようと、多くのVHSを購入し、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)さんやウー・ニェンチェン(呉念真)さんの映画に大きな感銘を受けた。特にウーさんの監督作「多桑/父さん」は日本統治時代から残る影響と国民党政権下の抑圧された雰囲気、台湾人のつらさを描き、川瀬さんは心を強く揺さぶられた。川瀬さんはすぐにウー監督に連絡を取り、その後はほぼ毎回の訪台時に面会して台湾映画や台湾のことを語り合う仲になった。
台湾映画や台湾への愛によって、映像業界をはじめとする台湾での交友関係は徐々に広がり、今では携帯電話の連絡先に入っている台湾の友人は300人を超えると川瀬さんは明かした。
2006年には年刊「台湾映画」を創刊し、台湾映画関連の内容を紹介している他、これまでに台湾映画関連の著書も多数出版している。
川瀬さんは、庶民の生活こそが、ある土地の最もリアルな姿を知る方法だとし、台湾映画研究や訪台、台湾での交友を今後も続けていくと話した。