(台北中央社)台湾高速鉄道(高鉄、新幹線)は16日、客席での通話やスピーカーでの音楽・動画視聴などの行為を控えるよう乗客に求める「静かな車内」の取り組み開始から約3週間で、これらの行為に対する指導件数が1万7000件を超えたと明らかにした。一方、同取り組みに対し、「子連れに優しくない」と批判する意見が噴出したのを受け、指導の仕方を見直す方針を示した。
高鉄は先月22日、改正旅客運送契約を施行。電子機器での通話や音楽・動画視聴などで他の乗客の安寧を明確に妨げ、注意しても改善しない乗客に対しては、運送契約の打ち切りを可能にする内容が盛り込まれた。高鉄は通話時のデッキへの移動や、電子機器使用時のイヤホン使用、会話時には声量を抑えることを乗客に求めており、施行から3カ月を周知期間として、座席ポケットに「静かな車内」と記載した啓発カードを設置するなどして取り組みへの理解向上を図っていた。
指導を行う対象に、乳幼児や疾病などその他の明確な要素で自主能力に影響がある乗客の行為は含んでいないものの、SNS上で「子連れ客が注意を受けた」との投稿があり、物議を醸した。
高鉄は交通部(交通省)が立法院(国会)に提出した報告書で、指導の対象は成人が電子機器を不適切に使用あるいは大声を出す行為に限り、乳幼児などは対象に含まないと改めて説明。物議を受け、周知方法を見直すとした。
高鉄によれば、座席ポケットの啓発カードは撤去し、車内誌でソフトに周知する形とする他、車内販売ワゴンに設置していた啓発カードも一時的に撤去し、デザインを刷新する。また、乗務員による注意はカードを掲げる方式ではなく、主に口頭での注意喚起や柔らかい指導に切り替えるという。
高鉄の統計によると、9月22日の施行から今月13日までに、指導件数は1万7146件に上り、1便当たりの平均指導件数は4.58人だった。指導内容の内訳は客席での通話が49%、イヤホン未使用での電子機器使用が24%、大声で騒ぐ行為が27%だった。