台湾の写真家、蔡定邦(さいていほう)さん(26)の写真集「水噹噹的金雲阿姨」(仮訳:グラマラスな金雲おばさん)が、スウェーデンのハッセルブラッド財団による「写真集出版助成賞」の入賞作品に選ばれた。蔡さんは今月8日から11日にかけスウェーデンで行われた交流会に招待を受けて参加し、写真集の背景などを語った。
写真集の被写体は72歳の「金雲おばさん」。蔡さんがカフェでアルバイトしていた時の同僚で、食器洗いの仕事をしつつ、90代の母親の面倒も見ていた。仕事の合間によく、自身が若い頃に取ったセクシーな写真を同僚たちに見せるも、無視されるのが日常だった。
一方で蔡さんは、金雲おばさんの写真に独特な魅力を覚えた。社会の主流な美的センスを追求したり、目を引くために流行りの服を着たりせず、彼女自身のスタイルで唯一無二の美を表現していると感じた。さらに金雲おばさんの中から蔡さん自身の「人々に見てほしい」という願望を見いだし、高齢化という社会課題や、金雲おばさんの明るい性格も相まって、彼女の姿をカメラに収めることにしたという。
蔡さんは交流会を通じ、スウェーデンが写真芸術を非常に尊重している場所だと感じたとコメント。寛容と開かれた態度で全ての人々や作品に接することができる国はなかなかないと語った。
写真集は台湾で来年、出版される予定。