(台北中央社)国内外の政治家や専門家が安全保障について話し合う「2025台北安全対話」が8日、台北市内で開かれた。元海上自衛隊下関基地隊司令の佐々木孝博氏は、中国は目的達成のためには手段を選ばない「超限戦」で台湾統一を推進していると指摘し、警戒を促した。
国防部(国防省)のシンクタンク「国防安全研究院」が主催した。シンポジウムには米国や英国、ドイツ、日本、オーストラリアなどから政治家や専門家らが招かれ、「統合抑止:実力でインド太平洋の平和を維持」をテーマに意見を交わした。
佐々木氏は在ロシア日本国大使館防衛駐在官の経歴を有する。台湾の専門家との対談に登壇した佐々木氏は、ロシアはハイブリッド戦、中国は超限戦を用いて地域と世界の安全に重大な影響を及ぼしていると指摘した。
中国の超限戦について、戦争の範囲を軍事以外にまで拡大し、金融や外交、サイバー空間、国際法のコントロールなどを含むあらゆる手段を戦争と見なす考え方だと説明し、超限戦を体現するため、中国共産党と人民解放軍は世論戦、心理戦、法律戦の「三戦」を打ち出していると紹介した。
また、超限戦の具体的な事例として南シナ海での拡張や対台湾戦略、福島第一原発の処理水放出、経済的威圧を挙げた。超限戦の特徴は「制限のない戦争」だとし、全ての社会領域を戦場と見なすとともに、小さな行動の積み重ねによって最終目標の達成を狙う「サラミ・スライス戦術」の方式で長期的に推進されているとした。