(台北中央社)台北市政府が歩道点検のために導入した犬型ロボットが、中国製であることが分かった。民進党の市議会議員らは27日、フェイスブックを通じて情報セキュリティー上の懸念を相次ぎ表明。これに対し、台北市政府新建工程処は同日、ロボットは点検作業を担う企業が自主的に提供したもので、現在は試験段階であり、正式運用はしていないと説明している。
ロボットは26日、台北市の李四川(りしせん)副市長が自身のフェイスブックで紹介した。光学パノラマカメラを用いた点検システムを搭載して、正確な位置情報を取得できる他、問題箇所を自動的に通報できると強調。これまで車両が進入できず、人力での作業が必要だった狭い歩道でも、迅速かつ正確に点検ができるとアピールした。
だが、簡舒培市議は、市政府側から「点検システムと遠隔操作ソフトウエアは台湾メーカーが開発、統合したもの」などと説明があったと報告する一方で、リスクのある中国製品を導入したことは、国家安全保障や情報セキュリティーの「レッドライン」を踏んでいると批判した。
またロボットについて、市政府側は当初「米国企業が開発した」としていたが、後になって「本体は中国製だ」と明かしたとも指摘。李副市長に対しても「カメラを搭載したトロイの木馬」と呼ばれるロボットを導入したことに言及していないと苦言を呈し、台北市内の地形や施設などに関するデータが全て中国に転送されてしまう恐れがあると強い懸念を示した。
顔若芳市議も同日、市政府は全面的な見直しを求め、同様の製品が台北市に流入しないよう訴えた。