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大規模リコール/原発再稼働の国民投票が不成立 賛成多数も投票率低く 専門家分析/台湾

2025/08/24 18:09
運転を停止した台湾電力第3原子力発電所=資料写真
運転を停止した台湾電力第3原子力発電所=資料写真

(台北中央社)23日に行われた台湾電力(台電)第3原子力発電所(南部・屏東県)の再稼働の賛否を問う国民投票は、賛成票が必要数に届かず不成立となった。専門家は結果について、原子力発電に依然として争議があると分析している。複数の発電方法を組み合わせるエネルギーミックスの重要性についても言及した。

国民投票では「第3原発の安全性に懸念がないことが主務機関により確認された後にその運転継続に同意するか」を問うた。中央選挙委員会の特設ページによれば開票の結果、賛成が434万1432票、反対が151万1693票で、賛成が多数だったものの成立に必要な500万523票(有権者数の4分の1以上)に届かなかった。投票率は29.53%で、これまでの国民投票で3番目に低かった。

中央社の電話取材に応じた中華経済研究院グリーンエコノミー研究センターの陳中舜副研究員は、頼清徳(らいせいとく)総統が原発再稼働について「原発の安全に懸念がないこと」「放射性廃棄物の処分に解決策があること」「社会の共通認識」の三原則に基づいて向き合うのが政府の立場だとしていることに触れた上で、社会の共通認識が形成されていないと指摘。今後も不透明な状況は続くだろうとの見方を示した。

またエネルギーミックスについては「台湾の人々が気にかけない状態こそが最適なエネルギー比率」であり、それはすなわち安定性やコスト、低炭素の競争力を兼ね備えている状態だと説明。日本と韓国の2030年時点でのエネルギー比率(原発が2~3割程度)を参考に、常に安定的に発電できる「ベースロード電源」の機能を原発に維持させた上で、かつ再生可能エネルギーの発展の持続、従来の水力発電やガス発電などを組み合わせることを提案した。

台湾経済研究院研究五所の陳詩豪所長は、再稼働は新たに原発を建設するよりもコストが低いのは事実であるものの、大規模原発には一度停止した際の影響がとても大きいと指摘し、分散・多元化したエネルギー計画が求められていると述べた。また停止時の影響が比較的小さい次世代型原発「小型モジュール炉(SMR)」について、商業化の途上であるものの、将来的には実用の選択肢になり得ると語った。

(曽智怡/編集:田中宏樹)

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