2013年6月17日配信
(台北 17日 中央社)日本政府の今年春の叙勲で旭日小綬章を受章した台湾高座台日交流協会の李雪峰理事長(86、左5)への伝達式が17日、日本の出先機関である交流協会台北事務所であり、樽井澄夫代表(大使に相当)から勲記と勲章が伝達された。戦中に台湾少年工として日本の海軍工場で働いた李さんは「日本は私たちを忘れなかった、とれも嬉しい」と挨拶し、当時製造した戦闘機「雷電」をモチーフにしたネクタイで笑顔を見せた。
台湾高座会は、台湾の元少年工らの同窓組織。第二次世界大戦末期の1943年、台湾から8000人以上の少年が工場要員として“内地”入りし、神奈川県の高座海軍工場で訓練を受け、各地で戦闘機の生産に従事した。リーダーだった李雪峰さんは帰台後も日本との交流を願い、結社が禁じられていた戦後の台湾で仲間たちと連絡を取り合い、戒厳令解除翌年の1988年に高座会を立ち上げた。定期的に日本で大会を開き、また日本各地の民間団体と交流し台日の友情を育んできた。
「日本統治下の台湾で厳しくも愛にあふれた教育を受けた、日本人であることを誇りに思っていた」という李さんの自慢は、有能な少年工として雷電の製造に奮闘した日々。メンバーは高齢化し、設立当初は3000人を超えた会員数も今では1000人以下になってしまったが、この日、会場には20人以上の仲間がそろいのネクタイで駆けつけた。
空をイメージする上品な濃紺に、銀色の雷電が光るネクタイに話を向けると、緊張気味だった李さんはようやく顔をほころばせ、日本語でこう語った。「2000年に記念品として作りました。雷電は私たちの誇りであり、最高の想い出。何の約束もしていませんが、今日はこのネクタイの日だとみな分かっているんです」。
(高野華恵)