(台北中央社)労働部(労働省)は20日午後、従業員の休暇取得に関する規則を改正し、来年1月1日以降、1年当たりの病気休暇が計10日を超えない場合、雇用主は従業員に対して不利益な取り扱いをしてはいけないと定めると発表した。
台湾では今年、エバー(長栄)航空の客室乗務員が病気を抱えながらも勤務を続け、帰国後に死亡したことを受け、一部企業で従業員が人事評価への影響を恐れ、休暇を取得できない状況が問題視された。
労働部の記者会見で李健鴻(りけんこう)政務次長は、エバー航空への調査で、従業員が病気を抱えながらも出勤したり、休暇を取らなかったりする事実が確認されたと説明。今月10日には全国規模の労使団体や中央部会(省庁)、地方自治体などを招いて意見を聞き、関連規則の改正に反映させたと語った。
新たな規則では、従業員が不利益を受けたと訴えた際、雇用主が証拠を提示する責任を負うこと▽人事評価については雇用主は従業員の勤務能力や態度、実績などを総合的に判断すること▽皆勤手当ての減額は合理的でなければならず、比例原則に反した扱いをしてはならない―などが盛り込まれた。違反した雇用主には過料が科される。
洪申翰(こうしんかん)労働部長(労働相)は同日午前、立法院(国会)で取材に応じ、企業の管理制度や企業文化が従業員の健康に関する権利を脅かしていると指摘。労働部は、従業員が病気休暇を取得することは権利であり、ある程度制度化された保障を与えるべきだと認識していると語った。
また従業員の健康は企業の持続可能な経営にとって最も重要な資産であるとし、制度の改正で、従業員の健康権がより優先的に重視されるようにしたいと述べた。