(東京中央社)高市早苗首相が台湾有事について「存立危機事態になり得る」と発言したことを巡り中国が反発を強めている問題で、在日台湾同郷会など12団体は19日、「高市首相の『存立危機事態』発言に対する過剰な中国の主張に対しての共同声明」を出した。猛烈な反発のムードをつくり上げているなどと指摘した上で、威圧的な言動を改めるよう求めている。
共同声明を出したのは在日台湾同郷会の他、反暴政アライ・台湾、在日チベット人コミュニティ、Students for a Free Tibet Japan、日本ウイグル協会、南モンゴルクリルタイ、世界モンゴル人連盟、内モンゴル人民党、Stand with HK@JPN、Lady Liberty Hong Kong、民主中国陣線、アジア自由民主連帯協議会。
声明では「高市首相の答弁である『存立危機事態』とは、同盟国や日本と密接な関係にある他国への武力攻撃によって日本の存立が脅かされ、日本国民の生命などが根底から覆される明白な危機が迫る事態を想定した『安全保障関連法』を下にしたもの」だと説明。「日本政府としての公式見解であり、何ら問題があるものではありません」とした。
また中国の薛剣駐大阪総領事が「勝手に突っ込んできたその汚い首は、一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」と発言したことについては、「公職にある人物とは思えない野蛮な言葉で恫喝(どうかつ)しました」と指摘。その後、中国国防部や中国の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室、人民日報なども同調し、日本への渡航を当面控えるよう自国民に注意喚起するなどしていると中国側の対応に苦言を呈した。
その上で、「中国が現状の変更を目論んで武力による攻撃を行わなければ、日本が存立危機事態に陥ることは無く、従って日本が自衛隊を派遣する必要も無い」と主張。台湾の主権は台湾に住む国民にあるとした上で、中華人民共和国は台湾を支配したことは一日もないと強調した。
さらに、中国が威圧的な言動を改め、国内での人権問題を改善しないならば「地域の最大の不安定要素であり続ける」と警鐘を鳴らし、自由と民主主義などの価値観を共有する国際社会の各国に対し「武力によって現状を変更しようとする専制国家に対し、一致してこれに対処するよう求めます」とした。