(台北中央社)米IT大手グーグルは20日、台北市士林区に開設したAI(人工知能)インフラ研究開発センターの運用を正式に開始した。同様の施設としては米カリフォルニア州の本社にあるものに次いで2番目の規模。この日行われた式典には頼清徳(らいせいとく)総統も出席した。
グーグルは台湾で、台北市信義区の超高層ビル「台北101」や北部・新北市板橋区、新竹県竹北市にオフィスや開発拠点を、中部・彰化県にデータセンターを設けている。新たな拠点で開発やテストされた技術は、同社が世界各地に展開するデータセンターに導入され、1日に数十億人が利用する同社のサービスを支えることとなるという。
頼総統はセンターの運用開始について、グーグルの台湾に対する長期的な投資や約束を一歩ずつ実現していることを示すものだと述べた。
その上で、台湾が同社の重要なパートナーとなり得た要因は二つあると指摘。第一に、台湾には開かれた民主主義制度があり、投資環境リスクや政府の腐敗の少なさといった指標でアジア上位に入っている点を挙げた。
二つ目の理由について、台湾がインド太平洋の戦略的に重要な位置にあることに加え、世界レベルの半導体産業の集積や高度な研究開発人材、健全な知的財産制度を有しているとした上で、これらの条件によって台湾がAIのソフトとハードの統合の点で最適な拠点になっていると語った。
グーグルクラウド・プラットフォーム開発ディレクターのグレッグ・ムーア氏は、センターには100人以上の社員が集結するとした上で、重要なのは規模ではなくスピードと実力だと語った。
また同社は過去10年にわたり台湾のインフラに投資しており、2013年に設置した彰化県のデータセンターの他、台湾と世界を結ぶ複数の海底ケーブルへの出資を進めてきたと言及。AI人材の育成にも協力しており、18年からフォーラムを通じて台湾の学術界とグーグルの研究者を結び付けていると紹介した。