(台北中央社)定例軍事演習「漢光41号」の実動演習が9日、始まった。今年は敵の脅威が深刻化していることを背景に、期間を10日間に延長し、シナリオを設定せずに昼夜を問わず連続して行う。
漢光演習は国軍が年に1度実施する大規模軍事演習。4月にはコンピューターを利用した図上演習が14日間の日程で行われた。実動演習は従来は5日間の日程で行われることが多かったが、今年は日数拡大に伴い、可能な限り実際の状況に近づけた訓練を実施する。敵軍が台湾に対し、実際の武力攻撃には至らない「グレーゾーン」でのかく乱行動を展開することを始まりとして、各軍種の対応を鍛える。
初日は主に敵軍が民兵船や海警船などの形で台湾に対してグレーゾーンのかく乱行動を起こすことを想定した訓練が行われる。また、敵軍が「演習」から「実戦」に転換するのを防ぐため、海軍は補給を終えた艦船を緊急出港させると同時に、機動性を持つレーダーや発射台付き車両を戦術位置に配備し、アラート待機任務を実施するとみられる。工兵部隊は上陸が容易な「レッドビーチ」でバリケードの設置工事を行うと考えられる。
今年は初めて「旅団」レベルで予備役の動員召集を行う。北部・桃園地区を管轄とする陸軍第206旅は5日から約3000人を召集し、戦闘準備訓練や全体の戦力回復評価を行っている。国防部(国防省)は万単位の予備役を演習に参加させ、平時の訓練の成果を検証するとともに、米軍に対し、台湾の予備役体制改革への関心を呼びかける。
期間中の15日から18日にかけては、防空演習が中部、南部、北部、東部・離島の順に実施される。