(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は13日、現役軍人の犯罪行為を裁く「軍事裁判法」を全面的に見直し、軍事裁判制度を復活させると発表した。国軍に対する中国の浸透やスパイ活動の脅威に対応するためだと説明した。
頼氏は同日、国家安全ハイレベル会議を開き、関連部会(省庁)の閣僚と中国の統一戦線や浸透への対応を協議した。その後、総統府で談話を発表した。
頼氏は中国はすでに「反浸透法」が定義する「域外敵対勢力」だとし、「政府に選択肢はない。さらに積極的な方法を採用しなければならない」と言及。「しかるべき措置を取り、われわれの民主主義の強靭(きょうじん)性と国家の安全を強化させ、われわれが大切にする自由や民主主義、生活様式を守る時が来た」と訴えた。
台湾では2013年に軍事裁判法が改正され、同法の適用範囲が「戦時」のみに限定された。そのため、平時では軍事裁判制度は運用されていなかった。
頼総統は、軍事裁判制度を復活させ、軍事裁判官を第一線に戻し、捜査機関や司法機関と協力して現役軍人の反乱や利敵行為、機密漏えい、職務怠慢、命令に背く(抗命)などの軍事犯罪の刑事事件を処理すると説明。今後、陸海空軍刑法に抵触する現役軍人の軍事犯罪事件は軍事法院(裁判所)で裁くとした。
また、関連の条例や法律を制定する他、国軍の士気に著しく打撃を与える現役軍人や元軍人の問題ある言動を制止するため、陸海空軍刑法に「敵に忠誠を示す」行為への罰則を加える方針を明らかにした。