(台北中央社)行政院臨時院会(閣議)は24日、立法院院会(国会本会議)で先月20日に野党側の強行採決で可決された公職者のリコール(解職請求)署名に関する規定を厳しくする内容を盛り込んだ公職人員選挙罷免法の改正案について、審議のやり直し(再議)を求める案を決定した。行政院(内閣)は、改正条文に執行困難な点があるなどと問題点を指摘している。
同改正案では、リコール案の請求者名簿と連署者名簿に本人の身分証のコピーを添付すること▽連署者名簿に添付された身分証のコピーで個人情報が識別できない場合、これを削除すること▽他人の個人情報を無断で利用して請求や連署をした者に罰則を科す―などの内容が明記された。採決前には少数与党・民進党と議会第1党・国民党との間で激しい攻防が繰り広げられた。
台湾は29日に旧正月を控え、25日から9連休となっている。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は、連休直前の24日夕に立法院(国会)から改正案が送られてきたことについて、立法院の野党の党団(議員団)による行政院への赤裸々な政治的思惑であり、行政院や各部会(省庁)、公務員を全く尊重していないなどと不快感を表明した。
また臨時院会は改正条文について、「リコールのハードルを上げ、過度に人民の罷免権を制限している」「請求代表者と各選挙委員会の作業にかかる負担が大幅に増える」「現在の立法委員(国会議員)にも適用されたことは、国民主権や利益回避の原則と公平・正義の維持に違反している」などの執行困難な点があるとして、再議の請求を決めたと説明した。
中華民国憲法追加修正条文では、行政院の再議請求に対し立法院は15日以内に再議を行う必要があり、立法委員総数の2分の1(57人)以上が当初の決議を支持した場合、行政院長はこれを受諾しなければならないと定めている。
▽民進党立法委員「改正案は人民の権利奪う」
民進党の呉思瑤立法院党団幹事長はフェイスブックを更新し、国民党と第2野党・民衆党による罷免法の改悪は、人民の権利を奪うだけでなく、立法院の民主制を奪うと批判。得るものより失うものの方が大きくなるとの認識を示した。
▽野党は再議請求に反発
国民党の林思銘立法院党団書記長は中央社の取材に、改正案のどこが執行困難なのかと不満を吐露。行政院はいかなる改正案にも再議を請求することをやめるよう訴えた。
また第2野党・民衆党の立法院党団トップの黄国昌氏は、頼清徳(らいせいとく)総統に任命された卓院長は民意を基礎にしていないと批判する声明を発表。民衆党の立場ははっきりしているとした上で、当初の決議を支持する方針を示した。