(台北中央社)中米ホンジュラスのナスララ前副大統領は18日までに、自身が来年の大統領選で当選すれば台湾との外交関係を回復させるとの考えを表明した。外交部(外務省)は同日、ホンジュラスの政治情勢を引き続き注視するとし、世界各国との付き合いに前提は設けないとの立場を示した。
ナスララ氏は左派政党「リブレ」のカストロ政権で2022年1月に副大統領に就任し、今年4月まで同職を務めた。カストロ大統領は昨年3月、中国との国交樹立を外相に指示し、中華民国(台湾)は同26日、ホンジュラスとの外交関係断絶を発表した。
現在、所属政党である自由党の大統領候補の座を争っているナスララ氏はホンジュラスの現地メディアの取材に対し、ホンジュラスが中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶことへの反対を表明した上で、大統領に当選すれば、台湾を国家として再び承認し、台湾との外交関係を回復させると述べた。ナスララ氏は、22年のホンジュラスの対中貿易は輸出が1100万米ドル(約16億2300万円)、輸入が2億米ドル(約295億円)超という大幅な赤字だったことや、台湾との断交後にエビ養殖産業だけで8000人分の直接雇用機会、5万人分の間接雇用機会が失われたことを説明した。
外交部は、中国は長期にわたり、台湾と外交関係を持つ国を脅迫したり、利益で誘惑したりし続け、台湾の国際的地位の孤立を図っていると批判。特にホンジュラスは昨年3月に中国と国交を樹立して以来、経済や投資の分野での恩恵を渇望しているものの、中国は国交樹立の上での巨額の約束を一向に果たしていないことを事実が証明していると指摘した。
その上で、ホンジュラスは予期していたメリットを全く享受できていないだけでなく、エビ養殖産業の急激な崩壊や双方の深刻な貿易不均衡という結果に直面しているとし、外交の場において手段を選ばない中国の下劣な行為が改めて浮き彫りになったと非難した。
また、目的のためには手段を選ばない中国の外交アプローチとは対照的に、台湾は一貫して国交を結ぶ国々の民生の発展を互恵互助の精神で支援しており、各種の成果は誰の目にも明らかだとアピールした。