(台北中央社)就任から間もなく1年を迎える郭智輝(かくちき)経済部長(経済相)が、18日までに中央社の単独インタビューに応じた。台湾には他国にない強みが多くあり、最も顕著なのは半導体産業のエコシステムだとし、米国が半導体産業を復興させるためには台湾が必要になるとの考えを示した。
郭氏は半導体専門商社を傘下に持つトプコ・グループ(崇越集団)の共同創設者で、半導体業界に明るい。バイデン米前政権は補助金の支給で半導体産業の復興を進めてきたが、それでは台湾積体電路製造(TSMC)の強みが見えづらかったと分析。今は保有する現金や能力がどれだけあるかを競う時代になったとし、TSMCは今後10年間にわたって独り勝ちの状況が続くだろうとの見解を示した。
また、TSMCは半導体ウエハーの受託製造企業であるため、関税が引き上げられた場合に打撃を受けるのは米国の顧客だと指摘。米国の顧客に対し、トランプ政権に対するロビー活動への協力を呼びかけていると明かした。
経済部(経済省)が複数の台湾企業に聞き取りを行った際、関税の税率自体の高さよりも、日本や韓国と比較して高くなることへの懸念が示されたとし、各国の条件が同じであれば、テクノロジー業も伝統産業も、大多数の企業が関税に対応できる自信を持っていると言及。その上で、先に飛び込むのが最善とは限らないとし、台湾は日本や韓国の交渉結果を今後の関税交渉の参考にすると話した。
トランプ米政権の相互関税発表後、政府は4月11日に米国とリモート方式で協議した他、同月末にはワシントンで2日間にわたって交渉を行った。今月15日にも、韓国で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合で台湾の交渉代表と米通商代表部(USTR)代表が会談した。