(東京中央社)国民党による権威主義統治下で行われた白色テロで犠牲となった台湾原住民(先住民)族ツォウ族の高一生(ウォグ・ヤタウユガナ)と、その娘や孫らの家族の物語を紹介する特別展「台湾人権と音楽の継承――高一生、三世代が紡ぐ家族の歌」が19日、東京・虎ノ門の台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで開幕した。家族の歩みを通して、台湾の人権の歴史を知ることができる。
高一生は教育者、思想家、音楽家、詩人などとして活躍したが、自由と自治を求め、白色テロで命を落とした。長女の高菊花さんはパナナ(派娜娜)の芸名で歌手になるも、政治的に利用された他、監視され、沈黙を強いられた。一方で孫の高慧君さん、高蕾雅さんは歌手、高崇文さん、高健雄さんは演奏家として活動している。
会場では、高一生が獄中から家族へ宛てた手紙や遺書、写真、映像資料などを7月23日まで展示している。
戒厳令下の1986年、陳水扁(ちんすいへん)元総統らと共に政治的迫害を受けた台北駐日経済文化代表処の李逸洋(りいつよう)代表(大使に相当)は開幕セレモニーで、「台湾の民主主義、自由、人権は数え切れないほど多くの諸先輩が命と自由を引き換えにして得たもの」と説明。中国の軍事的脅威と浸透に直面する中、われわれが台湾の民主主義をさらに大切にし、守り、人権と自由を迫害する歴史的悲劇を二度と繰り返さないようにしていることを理解してほしいと語った。
高一生の次男、高英傑さんは、1952年9月10日に父親が拘束された際、家族は谷底に突き落とされたと当時の苦しさを述懐。ツォウ族の伝統衣装をまとった妹の高美英さんと共に高一生が手掛けた楽曲2曲を披露した。