(ニューヨーク、台北中央社)米ニューヨークの民間団体、アジア・ソサエティーが新設した、英語で出版された中国語圏に関連する文学作品を対象とした賞「バイファン・シェル・ブック・プライズ」の受賞作品が米東部時間13日に発表され、台湾の小説家、楊双子さんの「台湾漫遊録」(英題:Taiwan Travelogue、金翎さん訳)が翻訳文学賞を受賞した。楊さんは中央社の取材に応じ、喜びの声を語った。
1938(昭和13)年の台湾を舞台に、台湾人と日本人の女性が二人で鉄道旅行をし、仲を深めていく姿を描いた作品。日本では2023年に「台湾漫遊鉄道のふたり」(三浦裕子さん訳)として出版され、昨年の日本翻訳大賞に選ばれた。英語版は昨年の全米図書賞でも翻訳文学部門で受賞した。
台湾時間14日に中央社の取材に応じた楊さんは、非常に幸運なことだとした上で、共に小説を遠い土地へ連れていき、世界に台湾を紹介できたとして、翻訳の金さんにも祝福と感謝を伝えたいと話した。
「楊双子」は元々、双子の姉妹である楊若慈さんと楊若暉さんの共同ペンネームだったが、妹の若暉さんが15年にがんで亡くなった後は、姉の若慈さんが楊双子の名義で執筆を続けている。楊さんは、作品は自身の「台湾書写計画」の一部分であり、妹の他界や学生運動(08年の野イチゴ学生運動、14年のひまわり学生運動)の衝撃を経て、台湾の歴史や100年前の女性の境遇を真剣にひも解き整理したものであるため、受賞の意義はとても大きいと語った。
さらに、現在は働く台湾人女性の外食の経験に関連する小説を執筆中で、台湾の漫画家とのコラボレーションも予定していると明かした。