(広島中央社)広島で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明で「国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」と明記されたことについて、東アジアの国際政治を専門とする東京大学の松田康博教授は、台湾海峡の平和と安定の重要性が格上げされたことがうかがえるとの見解を示した。中央社の電話インタビューに応じた。
松田氏は2021年3月の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で発表された共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」への言及があり、同年4月に行われた日米首脳会談でも同様にその重要性が強調されたことを紹介。その上で、以後2年にわたり、日本や米国がその他の国と2国間や多国間の会談を行う際にも同じ表現が使われたものの、その「重要性」がどれほど重要かについての言及はされていなかったと指摘する。
昨年10月に米国が発表した国家安全保障戦略では、台湾海峡の平和と安定は地域や世界の安全と繁栄に「極めて重要」との文言が盛り込まれ、同年12月に日本が公表した国家安全保障戦略では、台湾海峡の平和と安定は国際社会の安全と繁栄に「不可欠な要素」との表現が用いられた。
松田氏は、これらの用語から、台湾海峡の重要性が格上げされたと言うことができると分析する。
今回のG7サミットでの首脳声明で用いられた表現が日本の国家安全保障戦略で使われたものとほぼ同じだったと指摘した上で、G7メンバーがこの見方に同意したことを示すものだとし、今後、日米や日英、日豪、日本とNATO(北大西洋条約機構)間だけでなく、米国がその他の同盟国と2国間会談を行う際に発表する共同声明でも「台湾海峡の平和と安定の重要性は国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素」との言及があるだろうとした。