(パリ中央社)外務省主催の日本国際漫画賞で受賞歴のある漫画家・阮光民さんの作品「幸福調味料」のフランス語版がこのほど出版された。阮さんは中央社の取材に対し、漫画を通じてより多くの人に台湾を知ってもらいたいと期待を寄せている。
同作は台湾の歴史や、そこに生きる人々の人情などを描いた。フランス・アングレームで開催された国際漫画祭では1月31日、阮さんのサインを求めて多くの人が列に並んだ。「台湾よりも欧州での方が受け入れられている」、「(欧州の読者が)30分並んでサインやイラストを描くのを待ってくれ、感動した」と阮さんは語る。
阮さんは1973年生まれ。台湾を題材にした作品を多く手掛ける。日本統治時代に作家・頼和が発表した小説を漫画化した「一桿秤仔(漫画版)」は昨年、台湾漫画の最高栄誉とされる文化部(文化省)主催の「ゴールデン・コミック・アワード」(金漫奬)でグランプリを獲得した。今後は年に少なくとも1冊は台湾を題材にした作品を発表したいと意気込む。
台湾の物語を描くことについて「もし語る人がいなければ、多くの歴史が失われてしまう。それは残念なことだ」と阮さん。「私たちは台湾で生活しているが、台湾の土地に関する知識や文化への理解に乏しい」とし、本を読む人が徐々に少なくなる中で、「イラストを通じて読書を促し、より多くの台湾人作家や漫画家を知ってもらえたら、素晴らしいこと」と語る。
「台湾の魅力は人を受け入れ、台湾の一部にすること。どんな文化も台湾に入ってくれば『台湾化』される」。漫画を通じて伝えたいのは台湾の「混じり合う生活スタイル」だ。
阮さんは台湾を「サツマイモの形をした宝箱」と表現。「台湾で生まれ育っていない文化もあるが、いずれも台湾に深く根付いており、発掘されるのを待っている」と語った。