(ワシントン中央社)米国の文学賞、全米図書賞の受賞作品が20日発表され、楊双子さんの小説、「台湾漫遊録」が翻訳文学部門を制した。台湾の文学作品が同部門で受賞するのは初めて。
同作は1938(昭和13)年の台湾を舞台に、台湾人と日本人の女性が二人で鉄道旅行をし、仲を深めていく姿を描いた。日本でも昨年4月に「台湾漫遊鉄道のふたり」のタイトルで翻訳出版され、今年5月には台湾作品として初めて日本翻訳大賞を受賞した。
授賞式で楊さんは、なぜ100年前のことを書くのかと質問された際、「過去を書くことは未来に向かって歩むため」と答えていると強調。「この100年間で変わらないのは、私たちが常に近くにある強大で攻撃的な国家と向き合わなければいけないことだ」とした上で、台湾人の中でも国家やエスニックグループに関するアイデンティティーは異なるとの認識を示し、「私が書くのは、台湾人に結局自分は何人なのか答えるため」、「過去を書き続けるのは、より良い未来を迎えたいからだ」と語った。
翻訳を担当した金翎さんは、同作を通じてより多くの世界中の読者に台湾の文化と歴史を知ってもらいたいと述べた。