(台北、桃園空港中央社)中国共産党中央台湾工作弁公室(中台弁)が発表した両岸(台湾と中国)の交流・協力促進をうたう台湾への優遇措置について、中国の政治や両岸関係に詳しい淡江大学中国大陸研究センターの洪耀南副主任は、中国の真の目的は経済における依存関係を再び構築することにあるとの見方を示した。
中台弁は最大野党・国民党の鄭麗文(ていれいぶん)主席(党首)の訪中最終日に当たる12日、上海市や福建省住民による訪台個人旅行の試験的再開の推進や、台湾産農水産品の中国における販売ルート拡大など、10項目に及ぶ優遇措置を発表した。
洪氏は同日、中央社の取材に応じ、今回の措置は暮らしに利益を与える開放的な動きに見えるが、実際は中国側が両岸の公式な意思疎通ルートが途絶えた後に打ち出した、主権に基づく対話を避けて統治構造の再構築を狙う代替的な戦略だと指摘した。
その上で、このロジックは単なる利益供与ではなく「民間を通じて政府を促し、経済を通じて統一を促し、地方を通じて中央を包囲する、体系的な浸透工作だ」と述べた。
また、中国は台湾社会に対し、特定の政治的前提を認める政党だけが現実の問題を解決する能力を持つとのメッセージを発していると言及。最終的に政府の権威を弱めるだけでなく「政治的合法性」の転換、つまり中国側と意思疎通できる者にのみ統治能力があるように思わせることも狙っていると説明した。
▽ 国民党・鄭主席、作業チームの立ち上げを指示
鄭氏は12日、台湾に戻り、桃園国際空港(北部・桃園市)で記者団の取材に応じた。中台弁が優遇措置を発表したことに触れ、党の副主席に対し、作業チームを速やかに立ち上げるよう指示したと明らかにした。
優遇措置の対象には台湾の若者や農・漁業、観光業、零細産業などが含まれ、実質的な措置を通じて直接的な恩恵を受けられると話した。