(ストックホルム中央社)「もう一つのノーベル賞」と呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」の授賞式が2日、スウェーデン・ストックホルムで開かれ、受賞者に選ばれた唐鳳(オードリー・タン)元数位発展部長(デジタル発展相)らが出席した。唐氏は同日までに中央社のインタビューに応じ、多様な意見が台湾社会を押し上げるとの考えを語った。
唐氏は授賞式に先立ち、1日にストックホルム大学で講演した。その際に言及した「ジオサーマル・デモクラシー」(地熱民主主義)について、台湾本島の地中では三つのプレートが常にぶつかり合い、毎日のように有感地震があるが、これが台湾最高峰・玉山を毎年0.5センチずつ隆起させていると言及。社会でもさまざまな対立や衝突があるとしつつ、そのたびに貴重な共通認識を見つけ出すことができれば、その社会の「プレート」は台湾を向上させ、星空を仰ぎ見られると話した。
また共通認識が見つかれば、異なる意見を持つ人々も少しずつ相手への理解を深めていくと説明。2019年に実現した同性婚合法化の過程では非常に多くの意見があったが、民法改正でなく特別法制定での対応という新たな方法が生み出され、同性婚の議題はそれまでのように台湾社会を深く分断するものではなくなったと述べた。
その上で、重要なのは「51%の人が勝ち、49%の人が負ける」ことではなく、誰もが完全には満足しなくても受け入れられる方法を見つけることだと強調した。
中国に関連する議題についての見方を問われると、野党議員のリコール(解職請求)を呼びかける市民らが主催した今年4月の集会で、中華民国の国旗と台湾独立を象徴するクジラの旗が同じ場所で掲げられたと言及。国家に関して異なる考えを持つ人同士が、共に一つのメッセージを世界に発信したとの考えを示した。
今年はすでに27カ国を巡り、講演などを行ったという。台湾が人工知能(AI)を駆使して、市民参加を促し、意見を集めて社会の共通認識を形成するモデルは、各国で高く評価されていると語った。
同賞を台湾人が受賞するのは初めて。今年は他に4団体・個人に授与された。