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<写真特集>消えゆく歩道橋 台北市民の記憶の中に/台湾

2024/11/05 18:57
和平新生歩道橋(中央社資料写真)
和平新生歩道橋(中央社資料写真)

台北市の新生南路と和平東路の交差点にある歩道橋の存廃問題が注目を浴びている。歩道橋はかつては重要な歩行者用通路だった。だが、時代の進化に伴って利用習慣が変わり、多くの歩道橋が利用率の低下によって相次いで撤去されている。歩道橋は人々にとって、都市の記憶でもある。人々の記憶に残り続ける台北市内の今はなき歩道橋を中央社の秘蔵写真で振り返る。

▽台北駅・大亜百貨前陸橋

台北駅と亜州広場大楼の間にあった歩道橋。1989年に台北駅新駅舎が開業するとすぐ、歩道橋では路上販売業者の姿が見られるようになった(1989年9月5日撮影、中央社資料写真)
台北駅と亜州広場大楼の間にあった歩道橋。1989年に台北駅新駅舎が開業するとすぐ、歩道橋では路上販売業者の姿が見られるようになった(1989年9月5日撮影、中央社資料写真)

台北駅の向かいにある亜州広場大楼(旧大亜百貨、1990年完成)はかつて、台北一高いビルだった。忠孝西路の上を通過して台北駅と同ビルを結び、台北メトロ(MRT)の地下街が2000年に供用開始される以前は高速バスや鉄道を利用する際に必ず通る通路だった。2001年、台北駅の景観美化や工事を背景に撤去された。

2000年、大亜百貨前の歩道橋は多くの人で賑わった(中央社資料写真)
2000年、大亜百貨前の歩道橋は多くの人で賑わった(中央社資料写真)

▽中華商場歩道橋

中華商場と歩道橋。1969年、野球のリトルリーグ・ワールドシリーズで優勝した金龍少年野球チームのパレードでは多くの観客が歩道橋上で声援を送った(1969年、中央社資料写真)
中華商場と歩道橋。1969年、野球のリトルリーグ・ワールドシリーズで優勝した金龍少年野球チームのパレードでは多くの観客が歩道橋上で声援を送った(1969年、中央社資料写真)

台北駅の南西、西門駅に近い中華路一段にかつて存在した「中華商場」。1961年に供用開始され、当時の台北都市圏で最大規模の公有総合商業施設だった。家電や衣類、グルメなどが集結し、ここに来れば先端の新商品が何でも手に入るという場所で、週末には多くの人でごった返した。複数のビルが歩道橋で連結され、台北で空前絶後の「天空の道」が築かれた。

1980年代以降、台北市の商業の重心が東側に移るにつれ、中華商場の賑わいは失われ、1992年に取り壊された。

▽忠孝東路・松山路の箱型歩道橋

松山路と忠孝東路の交差点にあった歩道橋(1980年1月29日撮影、中央社資料写真)
松山路と忠孝東路の交差点にあった歩道橋(1980年1月29日撮影、中央社資料写真)

1980年代、松山路と忠孝東路の交差点には、新型の歩道橋が導入された。楕円形のデザインで雨風をしのぐことができ、独特な形状で注目を浴びた。だが後に歩道橋を覆う形のそのデザインが治安の死角になる恐れがあるとの懸念から、近隣住民の要望を受けて屋根部分が取り除かれた。映画「ターンレフト・ターンライト」で金城武とジジ・リョンがすれ違うシーンはこの歩道橋で撮影された。2014年10月、利用率の低さもあり、景観美化工事に伴い撤去された。

▽世界貿易センター歩道橋

世界貿易センター歩道橋。奥には台北101が見える(中央社資料写真)
世界貿易センター歩道橋。奥には台北101が見える(中央社資料写真)

台北101に近い、信義路と基隆路の交差点にあった世界貿易センター歩道橋は、毎年大みそかには台北101のニューイヤー花火を撮影しようとする人で溢れた。だが高齢者や身体障害者にとっては不便であることや階段や柱によって道が狭められていることで死角が生まれやすいことから、2022年に取り壊された。

▽和平新生天橋歩道橋

存廃問題に揺れる和平新生歩道橋=2024年11月4日、中央社記者謝佳璋撮影
存廃問題に揺れる和平新生歩道橋=2024年11月4日、中央社記者謝佳璋撮影

台北市の大型公園「大安森林公園」のそばに架かる歩道橋。エドワード・ヤン(楊徳昌)監督の「ヤンヤン 夏の想い出」(一一、2000年)やアン・リー(李安)監督の「恋人たちの食卓」(飲食男女、1994年)をはじめ、数多くの映画やミュージックビデオ(MV)が撮影された。今年10月末、取り壊しが発表されたが、市民の反対によって、市は先送りする方針を示した。

1994年の選挙期間、和平新生歩道橋は候補者の宣伝横断幕やのぼり旗で埋め尽くされた(1994年撮影、中央社資料写真)
1994年の選挙期間、和平新生歩道橋は候補者の宣伝横断幕やのぼり旗で埋め尽くされた(1994年撮影、中央社資料写真)

(編集:名切千絵)

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