(花蓮中央社)日本統治時代に公衆浴場として建設され、現在は温泉旅館として使われている東部・花蓮県玉里鎮の歴史建築「安通温泉旅舎」が修復、再利用される見通しとなった。県文化局が25日、修復・再利用計画の説明会を開いた。同建物で旅館を営む経営者も、かつての栄華を取り戻すため、計画に協力する意向を示している。
県文化局の資料によれば、安通温泉は日本統治時代に開発され、1903(明治36)年の資料には、浴場を建設、営業していた記録が残されている。30(昭和5)年に警察の保養所や公衆浴場などが建設され、次第に温泉地として発展していった。戦後、公衆浴場は県に接収され、73年に民間業者が経営権を買い取った。2004年3月に県の歴史建築に登録された。
安通温泉旅舎で旅館を営む3代目経営者の連祥淵さんは、建物は1973年に祖父が買い取り、後に父親が増築して旅館を始めたと紹介。当時、祖父の要求によって日本統治時代の建築物1棟が残され、今ではこの建物を見るために観光客が訪れていると話した。
建物は現在、雨漏りが深刻で、シロアリ被害を受けている梁(はり)も何本かあるという。連さんは、幼少期から共に過ごしてきたこの建物が安通地域のシンボルとなり、永続的に保存されるよう期待を寄せた。