(花蓮中央社)東部・花蓮県の景勝地、タロコ(太魯閣)渓谷を流れる立霧渓にできたせき止め湖の天然ダム(堤体)が29日午前、崩壊した。被害は確認されていない。農業部(農業省)林業・自然保育署花蓮分署は午後4時20分、水位が元々の河道の高さまで下がったとして、周辺地域に出していた警戒措置を解除した。一部で通行止めになっていた東部と中部を結ぶ幹線道路「中部横貫公路」の通行も同5時に再開された。
現場では同分署や宜蘭分署、作業チームが、天然ダムを掘削し、排水を促す作業を続けていた。同分署は、この日午前にせき止め湖から流れ出る水の量が次第に増加しているのを作業員が発見したと説明。同11時40分に天然ダムが崩壊し、せき止め湖の大部分の水が立霧渓下流へ流れ出たとした。作業員は事前に安全な場所に避難し、人的被害はなかった。
成功大学(南部・台南市)の観測チームによると、下流にある橋では同50分ごろに水位が2メートル上昇したが被害はなく、現在は元の水位に戻っているという。崩壊した天然ダムの土石が河道の一部に残り、水がたまっている箇所があるとしながらも、下流での災害発生リスクはないとしている。
林業・自然保育署と成功大防災研究センターは、引き続き残った天然ダムと河道の変化をモニタリングして安全状況を評価する方針。
作業終了時には渓谷に架かる橋の上にショベルカーが一列に並び、山に対して敬意を示した。