(台北中央社)半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の機密情報を不正に取得したとして、国家安全法違反などの罪で起訴された同社元従業員ら被告3人が1日午前、台湾高等検察署(高検)知的財産検察分署から知的財産・商業法院(裁判所)に身柄を移された。裁判中の勾留や接見禁止の可否が裁判所で審理される。
3人は先月27日に営業秘密法違反や国家安全法違反(国家の中核的重要技術に関する営業秘密を域外で使用した罪)で起訴された。
起訴状によれば、3人のうち1人は元TSMCのエンジニアで、後に半導体製造装置大手、東京エレクトロン(TEL)の台湾子会社に入社し、マーケティング部門で勤務していた。この男はTEL入社後の2023年下半期から今年上半期にかけて、当時TSMCに在籍していた被告2人に中核的技術や営業秘密の提供を繰り返し要求し、表面加工に用いるエッチング装置の業績改善に役立てていた。TSMCが年内に量産開始予定の回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体のエッチング工程で、量産装置の供給資格を得るのが目的だったという。
TSMCは異常に気づき、内部調査を実施したところ、在職者と元従業員が中核的技術と営業秘密を不正に取得した疑いが浮上し、7月8日に告訴した。知的財産検察分署は同25日から28日にかけて関係先を家宅捜索し、8月5日に3人への勾留請求が裁判所に認められた。
TELは先月28日の声明で、「現時点において関連する機密情報の第三者への流出は確認されていない」とし、当該の元従業員に不正情報の取得を組織的に指示した行為についても確認されていないと説明した。TELはすでに同従業員を懲戒解雇処分としている。