(台北中央社)19日午前、台北市中正区内の交差点で、左折しようとした路線バスが横断歩道を歩いていた60代の男性にぶつかった。男性は搬送先で死亡が確認された。被害者が乳がんの名医と評される医師であったことから、各界の関心を集めている。
バスを運転していたのは60代の男で、アルコールは検出されなかった。被害者の男性はバスの前輪に巻き込まれ、救出後に台湾大学病院に搬送された。同病院によれば、到着時にはすでに心肺停止の状態だったという。
蔣万安(しょうばんあん)台北市長は20日、報道陣の取材に応じ、心を痛めていると述べた。市交通局や警察局に対して法に基づいて責任を追及するよう指示した他、交通局がすでに現場に職員を派遣して調査したと説明した。
事故を起こしたバス会社、欣欣客運の范大維董事長(会長)は20日、記者会見を開いて謝罪し、辞任すると発表した。運転手が左折時に一時停止や指差し確認を実施しなかったことが事故の主な原因だとの考えを示した。
歩行者の権利確保を訴える民間団体「還路於民行人路権促進会」も19日、報道資料を発表。死角を監視するセンサーのバスへの設置義務化を求めた他、事故があった横断歩道にも問題があったと指摘した。全長が75メートルあるにもかかわらず、途中に安全島がなく、青信号の時間も69秒しかなかったとし、台北市政府に対して早急な改善を求めた。