(新北中央社)性別騒動の渦中にあるボクシング女子57キロ級台湾代表の林郁婷選手。準決勝が行われた台湾時間8日未明、出身地の北部・新北市の市庁舎ではライブビューイングが開かれ、侯友宜(こうゆうぎ)市長や母親の廖秀蘭さんが市民らと共に林選手に声援を送った。試合後には林選手とのビデオ通話も行われ、林選手は「金メダルを必ず台湾に持ち帰る」と胸をたたいた。
林選手は準決勝でトルコ選手を相手に判定勝ちし、決勝進出を決めた。ライブビューイングの会場では試合後、スクリーンに映し出されたビデオ通話の画面に林選手が登場すると「頑張れ郁婷、金メダルを奪え」との声が上がった。
母親の廖さんは林選手に「全力で頑張りなさい」とエール。林選手は会場に集まった人々に手を振り、何度もお辞儀をして感謝を伝えた。その後、母親に「体に気を付けて」を気遣いの言葉をかけ、金メダル獲得宣言をすると会場では大きな歓声が上がった。
廖さんは試合後、報道陣の取材に応じた。林選手が性別を巡って悪意ある攻撃にさらされていることについて心境を尋ねられると、「よく眠れていない。娘がずっと戦っているのを目にし、心を痛めている」と語った。
母親に育てられた林選手。家庭内暴力(DV)から母親を守ろうと、兄と一緒に読んでいた日本のボクシング漫画「はじめの一歩」をきっかけにボクシングを始めた。子供の頃から負けず嫌いだったこともあり、めきめきと頭角を現した。2013年にはブルガリアで開かれた女子世界ジュニア・ユース選手権大会で優勝し、ユース(16~18歳)で国際大会のメダルを獲得した初の台湾女子ボクサーとなった。
侯市長は、林選手は「台湾の娘で新北の娘」であり、台湾の国力を表しているとし、金メダルを獲得することで、批判してきた全ての人を黙らせてほしいと話した。