薬開発で台湾の国際賞受賞 岸本氏、さらなる応用語る=コロナ治療にも

2021/11/25 16:32
第4回唐奨バイオ医薬賞を受賞した岸本忠三氏
第4回唐奨バイオ医薬賞を受賞した岸本忠三氏

(東京中央社)台湾の民間団体が主催する国際学術賞「唐奨」を受賞した大阪大学免疫学フロンティア研究センターの岸本忠三特任教授がこのほど中央社の単独インタビューに応じた。自身が開発をけん引した抗体医薬「アクテムラ」が新型コロナウイルスの治療薬として注目されていることや、同薬のさらなる応用について語った。

岸本氏は1980年代、炎症反応の調節に中心的な役割を果たすたんぱく質「インターロイキン6」(IL-6)を発見。IL-6が大量に産生されると、関節リウマチなどを引き起こす。「アクテムラ」にはIL-6の働きを抑える効果がある。IL-6の発見や薬の開発における功績により、昨年、第4回唐奨バイオ医薬賞受賞者に選ばれた。

アクテムラは関節リウマチの治療薬として世界中で用いられてきたが、新型コロナウイルスの治療薬としても注目が集まっている。すでに米食品医薬品局(FDA)や世界保健機関(WHO)などから新型コロナ治療薬として緊急使用許可(EUA)を取得した。岸本氏はこれは「(有効性が)世界的に認められたということ」だと話し、知らせを聞いて「非常に喜んだ」と笑顔を見せた。

同薬の応用については、敗血症や被災による筋肉壊死、やけどなどで集中治療室に運ばれた重度のショック状態にある患者への治療にアクテムラを使用可能かどうかの臨床試験が始まりつつあると紹介。臨床試験は「応用を広げる上で役立つ」との見方を示した。

また、IL-6の過剰産生が「サイトカインストーム」(免疫暴走)というショック状態を引き起こす理由や、どんなシグナルがどのような遺伝子に変化を起こすかといったことの解明が今後の課題だと語った。

「われわれが20年以上ずっとやってきたのは非常に基礎的なこと」だと話す岸本氏。基礎的な研究が関節リウマチ、ひいてはコロナの治療につながったことに触れ、恩師である免疫学者の故山村雄一氏の言葉を引用し、「継続が創造を生む」と続けることの重要性を唱えた。

唐奨は2012年、「東洋のノーベル賞」を目指して実業家で潤泰グループの尹衍樑総裁によって設立された。「バイオ医薬」など4部門からなる。第4回は昨年6月に各部門の受賞者が発表され、授賞式が今月20日、オンライン形式で行われた。当初は昨年9月に予定されていたが、新型コロナの影響で延期された。20日と27日には受賞者のリモート講演があり、岸本氏は27日に登壇する予定。

(楊明珠/編集:荘麗玲)

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