(台北中央社)元海上自衛隊潜水艦隊司令官の矢野一樹氏が7日、北部・新北市の淡江大学の招きで「対中抑止戦略上の潜水艦の重要性」と題したリモート講演を行った。8日には中央社の取材にリモートで応じ、台湾が潜水艦を運用することのメリットについて「相手(中国)に常時緊張と潜水艦を探すための膨大な努力を強いることができる」と語った。
台湾では2023年、初の国産潜水艦試作艦「海鯤」が進水し、現在海上での試験が進められている。矢野氏は、どの程度の能力を持っているかについては推測の域を出ないとしながらも、米国の支援を受けていることに触れ、「日本の潜水艦の技術をしのいでいる可能性がある」との見方を示した。
また「恐らく台湾海軍は台湾周辺海域の防衛に(海鯤を)使用する」とした上で、「台湾海峡は非常に浅い海域で潜水艦の運用に適してはいないが、運用できないとことはない」との認識を示した。
2027年までに中国が台湾侵攻をすると指摘する声が一部から上がっていることについては、現段階では台湾の潜水艦数が「非常に少ない」とし、「台湾海軍としてはできる限り早く隻数を整備して、一定の作戦ができるレベルに到達することが重要」と述べた。
台湾は将来的に約10隻の潜水艦を運用する計画。日米との連携や誤認攻撃のリスクを避けるためには調整が必要で「米国を中心として管理するしかない」と語った。