(台北中央社)台湾で対中政策を担う大陸委員会の梁文傑(りょうぶんけつ)副主任委員(副大臣)兼報道官は5日、定例記者会見で、中国大陸の戸籍取得が可能となる中国大陸の定住証(定居証)を所持している台湾人1人の台湾の身分を取り消したと発表した。今後当該の人物が訪台する際は、台湾地区・大陸地区人民関係条例(両岸条例)に基づいた入境申請が必要だとした。
梁氏は、台湾人が中国大陸の定住証を所持している場合、台湾の身分を取り消すとする両岸条例の解釈を大陸委が4月16日に発表したと強調。当該の人物については、2024年に定住証を取得していたことが確認されたと説明した。また解釈発表後に台湾人の台湾の身分が取り消されるのは初めてだと明らかにした。
両岸条例の規定では、台湾人が中国大陸に戸籍を置いたり、中国大陸の旅券(パスポート)を取得したりすることを禁じている。中国大陸の身分証や定住証、旅券を所持している場合、台湾人の身分を失うことになる。
大陸委は3日、台湾人が中国大陸に居留できるようになる「居住証」や中国大陸への渡航が可能になる「台湾居民来往大陸通行証」(台胞証)、中国大陸・福建省福州市で交通や宿泊の割引などが受けられる離島・馬祖の住民を対象にした「福馬同城通」、銀行のキャッシュカード、交通系カードは中国大陸に戸籍を置くものではなく、台湾人の身分に影響はないと説明。ただし、個人情報の流出や権利・利益に予測できない侵害が及ぶ可能性があるとして注意を呼びかけた。