(台北中央社)北部・新北市三峡区で78歳の男が運転する乗用車が歩行者やバイクをはね、15人が死傷する事故が発生したのを受け、陳世凱(ちんせいがい)交通部長(交通相)は20日、高齢者の運転免許更新の厳格化など三つの改革を進める方針を示した。免許更新の対象年齢を「70歳以上」に引き下げる。高齢者の免許更新に関する新措置は早ければ来年にも施行される見通し。
三峡の事故では、78歳の男が運転する乗用車が猛スピードで四面全て赤信号の交差点に突っ込み、歩行者や停車していたバイクの運転手に衝突した。この事故で中学生2人を含む3人が死亡、運転手の男を含む12人が負傷した。事故発生前、運転手の男は後方車両にぶつかる事故を起こしていた。現場から逃走するために猛スピードで車を走らせたとみられている。
事故を受け、高齢ドライバーの問題に注目が集まり、高齢者の免許更新の厳格化を求める声が上がっている。陳氏は20日の記者会見で、事故に対する社会の関心の高さは理解できるとしつつ、年齢別で交通事故率が最も高いのは高齢者ではなく、18歳から24歳までだと指摘。交通部として、全体の運転免許管理に対して三つの改革を進めるとした。
改革の内容は、試験の厳格化でドライバーの能力の程度を区別▽違反者の安全運転やリスクへの意識強化▽高齢者の安全運転支援—の三つ。現行制度では、職業ドライバーや永久居留証(永住権)を取得していない外国人などの一部を除き、75歳未満のドライバーは運転免許の更新が不要となっている。75歳以上は3年ごとの更新で、身体検査や認知機能検査を受ける必要がある。
陳氏は、10年後に70歳以上の高齢ドライバーは現在より約90万人増加し、272万人に達する見通しだと説明。そのため、日本の制度を参考に、免許更新の対象を70歳に引き下げ、違反歴があるドライバーには安全運転の実地訓練や危険感知・交通安全講習を義務付ける方針だとした。3カ月以内に詳細を詰める予定で、来年には新措置を施行したいと述べた。