(台北中央社)イスラエルでナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の犠牲者を悼むホロコーストメモリアルデーを迎えた23日、台北市内で関連のイベントが行われた。頼清徳(らいせいとく)総統は恨みや偏見、過激主義は人類全体への脅威であり、良心や正義、民主主義、人権は暴力行為や専制政治に抗う重要な力だと述べた。
イベントはユダヤ人強制収容所のアウシュビッツが解放された1月27日の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」を記念するもので、駐台北イスラエル経済文化弁事処(大使館に相当)とドイツ在台協会(同)、シンクタンク、台湾民主基金会の主催で開かれた。2016年から毎年開催されている。
頼総統は、台南市長在任中にイスラエルを訪れ、エルサレムのホロコースト記念館「ヤド・バシェム」を見学したことに触れ、その際に心を動かされ、ユダヤ人虐殺への関心が高まったと振り返った。
その上で「平和はプライスレス。戦争に勝者はいない」と述べ、民主主義のパートナー国家との協力関係を深化させ、地域と世界の平和や安定を守っていく立場を強調した。また、歴史を忘れないだけでなく、一つになって協力すべきだとし、幸せな未来を共に築いていけるよう期待を寄せた。
イスラエルのマヤ・ヤロン駐台代表(大使に相当)は、大虐殺は沈黙の危険性や恨みがもたらす結果、未然に防ぐことの必要性を教えてくれたとし、記憶が保存されるようにするだけでなく、それが共有され、その中から学ぶことの重要性を訴えた。
ドイツ在台協会のアンドレアス・ホーフェム副処長は、歴史を忘れるのは選択ではなく、歴史をねじ曲げるのは言論の自由ではないとし、沈黙は決して中立を意味しないと述べた。