(東京中央社)総統府は6日、謝長廷(しゃちょうてい)台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)の退任を認める総統令を出した。このほど中央社の単独インタビューに応じた謝氏は、代表に就任した2016年に打ち出した「善の循環」の概念を普遍化させることに努力してきたと振り返った。
▽目指してきた「善の循環」
謝氏の代表退任に関する情報が伝えられると、台湾に友好的な日本の多くの団体から感謝状や記念品が贈られた。「善の循環」と書かれたものも多く、この4文字は台日関係を表す普遍的な言葉になったと謝氏は語る。
「善の循環」の概念は今後も引き続き広めることができ、世界のモデルになれると謝氏。困難に直面した時に手助けをし、感謝の心とお返しの心をつなぎ、一つのエネルギーにして循環させることは、意義のあることだと語った。
また1999年の台湾大地震や2011年の東日本大震災、16年の熊本地震、18年の花蓮地震などに触れ、災害が起きた時、台日は互いに助け合ってきたと強調。台湾の果物が中国で禁輸となった際にも、日本は台湾を助けてくれたと述べた。
「善の循環」は自治体や議会にも浸透しているとし、178組の自治体が友好・姉妹都市関係を結んでいるとした他、代表処(大使館に相当)が開催を促進した「台日交流サミット」の活動にも言及。7月29、30両日に南部・台南市で開かれたサミットには日本から433人が参加したと語った。
さらに日本人の台湾に対する好感度は16年以降上昇し続けていると話し、昨年12月には76.6%の日本人が台湾に親しみを感じると回答。台日の友好さは数字に表れており、成長も確認できると胸を張った。
▽台湾海峡の平和の重要性強調に感謝
謝氏は、安倍晋三元首相や菅義偉前首相が国際的な場で台湾海峡の平和と安定、繁栄の重要性を強調し、武力による問題の解決をしてはならないとの立場を示したことに感謝を表明。台湾にとって非常に重要なことだと語った。
また日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の協力枠組み「クアッド」などで中国への抑止力強化を図っていることについても、正しいやり方で、良い方向に向かっているとの認識を示した。
台日の友好関係については、中国が21年3月に台湾産パイナップルの輸入を禁止してからの2年間で、日本向けの輸出量が8倍以上になったと強調。半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を新設したことについても、日本のサプライチェーン(供給網)問題を解決できた他、台湾の国際拠点が増えたとし、日本の半導体産業の復興を通じて製造業を復興させ、経済発展と復興させる目標において、台湾は日本を完全に支持すると語った。