(台北中央社)国会職権関連法改正案が立法院院会(国会本会議)で可決されたのを受け、卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は29日、再議に付すことを検討する方針を明らかにした。これに対し、最大野党・国民党立法院党団(議員団)の傅崐萁(ふこんき)総召(院内総務)は同日、「われわれは徹底的に戦う」との姿勢を示した。
立法院は同関連法改正を巡って紛糾。少数与党の民進党が議論を呼びかける一方で、国民党と第3党の民衆党などの賛成多数で28日、可決された。法案には、答弁者が質問の回答を拒否するなど国会を軽視する行為をした場合や政府機関や企業、団体などが資料の提出などを拒んだ場合、聴証会に出席した関係者が虚偽の陳述をした場合などに過料を科すことや、国会の人事同意権行使、総統による立法院での報告の定例化などが明記された。
卓氏は、可決された法案は「国会軽視」(議会侮辱)に対して明確に定義していないと指摘。人事同意権の規定は憲政機関やその他の法定機関の職権行使に困難をもたらす可能性があるなどとし、これらのさまざまな要素はいずれも行政院(内閣)が今回の改正法案を執行が困難だと見なす理由だと説明した。
また、行政院が再議に付すことを検討する狙いは、行政院と立法院の間の対立と衝突を高めることでは決してなく、憲政を進める過程によって、立法院に法案の内容を改めて見直させるようにすることにあると強調した。
中華民国憲法追加修正条文では、行政院は立法院が議決した法案などに関して執行困難だと認めた場合、総統の許可を経て、その決議案が行政院に送達されてから10日以内に立法院に再議を要求することができると規定。再議時には立法委員(国会議員)総数の2分の1(57人)以上が原案の維持を決議した場合には、行政院長はこれを受諾しなければならないと定められている。
行政院が再議の検討を表明したことについて、傅氏は取材に対し、これは与党がもう一つの戦いを勃発させる始まりだとし、立法院が政府機関や企業、団体などに資料を提出させる権利や聴証会に関する聴証権を必ずや台湾に根付かせるとの決意を示した。