東部・台東県海端郷の道路に24日、全長1.5メートル超で太さが成人女性の腕くらいあるヘビ「ヒャッポダ」(百歩蛇)が現れた。郷公所(役場)のゴミ収集車が通りかかった際に発見され、他の車にひかれないか心配した職員らが木の棒を使ってヘビを道路の外に誘導した。
職員の一人で台湾原住民(先住民)族ブヌン族の王林霧さんは、海端郷に住んで40年になるが、こんなに太いヒャッポダを見るのは初めてで、とても美しかったと語った。さらにヒャッポダはブヌン族で友好の象徴とされていると明かした。
▽「友好の象徴」となった理由は伝説に
国立台湾史前博物館の元館長、浦忠成さんによれば、ブヌン族の伝説では昔、愛する夫のためにヒャッポダの模様の服を作ろうとした女性が、母ヒャッポダに子ヘビを借りて参考にした。服が完成した後、母ヘビは子ヘビを迎えに来た。ところが服の美しさに感動した近隣住民が、自身も子ヘビを借りようとすると取り合いになり、子ヘビは死んでしまった。母ヘビは激怒し、ブヌン族の集落を攻撃。その後100年にわたってブヌン族とヒャッポダの争いは続き、死者も出た。
その後、ブヌン族とヒャッポダの代表同士がこれ以上の苦しみを生まぬよう、和平を誓った。ヒャッポダは自分たちの模様を服のデザインとして貸すことを了承し、ブヌン族はその代わりにヒャッポダを敬うと約束した。これが「友好の象徴」や今日でも見られるブヌン族の民族衣装の模様につながっているのだという。
▽ヒャッポダにまつわる伝説は他民族でも
海端郷で歴史関連の仕事をするタハイさんは、ブヌン族でヒャッポダは最も重要なデザインになっているだけでなく、貴族や権力の象徴でもあると説明。またパイワン族にもヒャッポダにまつわる物語が多くあり、台東のパイワン族の間ではヒャッポダは彼らの祖先とされていると述べた。
さらにタハイさんによれば、ルカイ族には人間の王女とヒャッポダが恋に落ちる物語が言い伝えられている。ヒャッポダは苦労の末に七色のガラス玉を手に入れ、王女を妻として迎えた。王女とヘビは湖の中に消えていったという。