(台中中央社)中部・台中市の市立台中第一高級中等学校(高校)の物理実験室に眠っていた日本統治時代の実験機器が、教員や生徒の手によって整備され、教育ツールとして新たな命が吹き込まれた。校内の科学館で展示され、来館者に近代科学の歩みを伝えている。
同校は日本統治時代の1915(大正4)年に台湾公立台中中学校として開校した。物理実験室は70年以上の歴史を持つ。
同校によれば、保管されていた古い実験機器の整備を進めたのは物理教師の頼奕豪さん。頼さんは、これらの機器に教育の機能を持たせようと、2年計画で機器の整備に着手した。機器の多くは教科書にしか登場したことがなく、休み時間を利用して機器の使い方を探り、動画を撮影したり、説明書きを執筆したりした。この取り組みに、次第に別の教員や生徒も加わっていった。
生徒の張培恩さん、許恩与さん、陳冠瑋さんは、古い機器を利用して1909年の電子電荷測定実験「ミリカンの油滴実験」を再現しようと試みた。測定器はすでに製造終了しており、説明書が見つからず、類似の型の機器の使い方を参考にして装置や部品の機能を探っていった。陳さんは、教科書で見た実験の風景が目の前で再現され、とても感動したと話す。
機器の中には壊れているものも多かった。生徒の陳亮維さん、翁丞沂さん、王胤丞さんは、電気抵抗箱の修理に挑戦した。まずは構造や動く仕組みの把握から取り掛かり、壊れた原因を探った。修理期間中には何度も確認や作業、テストを繰り返し、挫折も度々感じたと明かす。修理に成功した時の感動はひとしおだったと語った。
機器は同校科学館で展示されている。教員や生徒がまとめた各機器に関する資料はクラウドデータベースに保存され、来館者は展示棚にあるNFCシールにスマートフォンをかざすと、説明文などを取得することができる。展示棚も日本時代のヒノキ製のものが使われている。