(台北中央社)南部・屏東県の工場で22日に発生した火災と爆発で消防隊員4人が死亡し、消防士でつくる団体が労働組合結成を認めるよう訴えたのを受け、陳建仁(ちんけんじん)行政院長(首相)は25日、政府として消防隊員に対して最高の保障を提供する姿勢を示した上で、消防隊員の装備や関連設備の強化についてさらに80億台湾元(約370億円)の予算を計上すると説明した。
22日夕、屏東県のゴルフ用品工場で火災が起きたとの通報を受けて現場に駆け付けた消防隊員が救助のために建物内に入ったところ、爆発が発生。消防隊員と従業員が閉じ込められ、消防隊員4人を含む9人が死亡した。この他、従業員1人が行方不明となっている。
消防士の権利向上を目指す団体、消防員工作権益促進会は23日、総統府前の凱達格蘭(ケタガラン)大道で記者会見を開き、蔡英文(さいえいぶん)総統や来年1月の次期総統選に出馬予定の候補者4人に対し、消防士に労組の結成を認めることなど同団体が掲げる要求への支持を呼びかけた。
台北市内で取材に応じた陳氏は、政府は消防隊員の権益を非常に重視していると言及。消防士の労組結成に関しては慎重に検討するとし、考試院(人事院に相当)と協議を続け、最良の策を提示するとした。台湾は公務員に労組結成を認めていない。
また、消防隊員の装備や関連設備の強化に政府はすでに76億元(約350億円)を計上しているとし、消防隊員の給与や危険勤務手当の増額も行ったと紹介した。