中部・雲林県口湖郷の路地の壁面にこのほど、カキ殻どの漁業系廃棄物でできたウォールアートがお目見えした。環境の美化のみならず、地元の産業文化や人々の日常生活と結びつけ、地域アイデンティティーの形成につながればとの期待が寄せられている。
手掛けたのは地元出身の芸術家、陳玄茂さんと若手の仲間たち。台湾でのコミュニティづくりは立体感の出るペイントやモザイクアートによるものが多いのを受け、陳さんたちは昨年1月から、これまでとは異なり、かつ海洋廃棄物を生かそうと、カキ殻などを貼り付けてできるレリーフ壁画の作成に取り組んできた。
同郷金湖村の路地計3カ所の壁面に施されており、静かな漁村はこうして「壁のない芸術館」に変身した。壁画のテーマはそれぞれ「自由の海」「魚たくさんの食卓」「海の子ども」。
口湖郷は海沿いにあり、至る所に魚の養殖池が広がる。水産物の種類としてはティラピア、ハマグリ、カキなどが挙げられる。中でもカキの養殖が有名で、台湾で採れるカキの稚貝のほとんどが口湖郷のものだという。