中部・雲林県虎尾鎮で11日、農作業に使われていた雌の水牛1頭が勇退し、県の飼育施設に送られた。飼い主の男性はこれまでの労をねぎらいながら「仲間がいて寂しくないからね」と別れを告げた。
黄松勇さんは今年74歳。50年以上農業に従事している。毎年田植えの時期になると、水牛を連れて田に出向いた。水牛でならした水田は機械よりも出来栄えがいいと胸を張る。
水牛は約10年前、高齢の牛と3万台湾元(約14万円)で交換して入手。農耕器具の機械化により、農作業に携わる水牛としては、虎尾で最後の1頭となっていた。実際に活動する期間は年間約1カ月程度だが、黄さんは毎日2回の食事と散歩を欠かさず続け、大切に育ててきた。
だが、黄さんは高齢を理由に引退を決意。水牛が殺処分されてしまうのは忍びないと思っていたところ、虎尾鎮北渓里の里長(町内会長)の紹介で、施設の利用が決まった。
現在施設には2頭の牛が飼育されており、施設の責任者は、今後夜の時間に仲を深めてもらうと語った。