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台湾人監督の長編デビュー作が新人監督コンペに選出 ベルリン国際映画祭

2025/01/24 14:27
台湾映画「河鰻」の場面写真(底噪影像提供)
台湾映画「河鰻」の場面写真(底噪影像提供)

(ベルリン中央社)第75回ベルリン国際映画祭の出品作が21日発表され、台湾のチュウ・ジュンタン(朱駿騰)監督の「河鰻」(Eel)が、今年新設されたパースペクティブ部門に選ばれた。チュウ監督は中央社のリモート取材に「ベルリン映画祭から評価を得られたのは、自分にとってはとてつもなく大きな励みになった」と喜びを語った。

「河鰻」は台北市の社子島を背景にした作品。島で出会ったミステリアスな女性と若い男性が、島の隠された秘密を共に探るという物語が描かれる。社子島はかつて中州だった土地で、水害が発生しやすいことなどから、50年にわたり開発が禁じられてきた。そのため、台北市内にありながら、孤立した地域となっている。パースペクティブ部門は初長編劇映画監督作品を対象とし、14作品が選出された。

チュウ監督は大学で映画を専攻し、その後数年間映画業界に身を置いた。だが、映画制作における行き詰まりを感じ、英国に留学。現代アートを学んだ後、ビジュアルアーティストとして活動し、インスタレーションや映像、その他のニューメディアを手掛けてきた。映画の世界に戻るのは20年ぶりだという。

生まれも育ちも台北だというチュウ監督。だが、かつては社子島にきちんと足を踏み入れたことがなく、社子島に真に入って初めて、現地の独特の自然景観や住民に魅了された。チュウ監督は、社子島をまるで「タイムカプセル」のようだと形容する。物語の背景を真実味をもって映画に反映させるため、チュウ監督は社子島で1年暮らし、実地調査や創作活動を行った。

題名の「河鰻」は、社子島で生活をしていた際に偶然目にした、漁師がウナギを捕まえている光景をヒントにした。ウナギが網の中でもがいている姿が印象的だったという。淡水で暮らすウナギが実は深海で生まれ、長い時間をかけて川まで移動し、再び海に戻って産卵するという生活形態をとっていることを知り、このような「生命の循環」が作品において重要な隠喩になっていると紹介した。

パースペクティブ部門の責任者は同作について、マジックリアリズムの要素を巧妙に取り入れ、鮮明で魅力的な美学を有しているとコメントした。

この他、台湾人監督の作品では、パノラマ部門にチュウ・ピン(朱平)監督の「愛作歹」(Silent Sparks)、フォーラム部門にスー・ホイユー(蘇匯宇)監督の「三庁電影」(The Trio Hall)がそれぞれ出品される。

同映画祭は2月13日から同23日まで開催。「河鰻」は映画祭で世界初上映される。

(林尚縈、顔若瑾/編集:名切千絵)

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