(台北中央社)台北映画祭は9日、映画看板絵師の顔振発さんに卓越貢献賞を授与すると発表した。50年以上にわたって映画看板を描き続け、数千に上る作品を手掛けた。
5月71歳になる顔さんは18歳で映画看板の世界に入った。通常は一人前になるには3年余りかかるが、顔さんは生まれながらの才能と努力によって2年で師匠から一人前と認められた。映画全盛期には毎月200作品以上の映画看板を描いた。顔さんの腕前の高さは台湾の映画業界のみならず、海外からも注目を浴び、日本映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」やハリウッド映画「ローガン」など海外作品の手書きポスターを手掛けたこともある。2019年には英ロックバンド「コールドプレイ」のアルバムの壁画広告を担当した。
これまで弟子は取ってこなかったが、現在は台南の映画館「全美戯院」の助言の下、週末に手描き看板制作に関するワークショップを開催し、技術の伝承にも取り組んでいる。
長年映画館で仕事をしてきたものの、顔さんの名前が映画のエンドロールに登場したことはなかった。受賞の知らせを受け、顔さんは報道資料を通じ、うれしく思うと同時にほっとしたと話し、「自分も映画製作の一員」だと誇りを持って言えるようになったとコメントした。顔さんは長年の看板制作で目を酷使してきた影響で右目の視力を失い、今は左目だけに頼って生活している。それでも「目が見えなくなるまで描き続ける」と情熱を燃やした。
2024台北映画祭は6月21日から7月6日まで台北市内の3カ所の映画館で開かれる。