(台北中央社)創作和楽器集団「鬼太鼓座」(おんでこざ)が25日から27日にかけて、台湾各地で公演を行う。メンバーは23日、中央社のインタビューに応じ、台湾公演への期待を語った。
台湾公演は7年ぶり。今回は「台湾国際打楽器フェスティバル」(台湾国際打撃楽節)の招きを受け、北部・台北、中部・台中、南部・嘉義の3カ所で演奏を披露する。音頭取の松田惺山さんは「いつも通り全力で演奏する」と意気込む。「平和への祈り」を軸に、太鼓の波動とエネルギーを観客に届ける。
1969年、故田耕(でんたがやす)さんの構想のもとに集まった若者らによって佐渡で結成された鬼太鼓座。「走ることと音楽とは一体であり、それは人生のドラマとエネルギーの反映だ」という「走楽論」を活動の根源とし、1990年には米ニューヨークのカーネギーホール公演を皮切りに1万4910キロを走破する「全米一周完走公演」を実施。2005年には台湾一周約1200キロを走り切る「マラソンライブツアー」も行った。
メンバーは台湾でも毎日少なくとも1時間は走ると決め、各自で走りに行っている。松田さんはこの日の朝、宿泊先のホテルから国家音楽ホールまで走り、それから総統府を経由して再びホテルまでランニングして戻ってきたと明かす。観光気分で足を進めていると、長い時間走ってしまうのだという。
今回が初の海外訪問だという座員の広岡拓真さんは、ホテルでスタッフから親切にあいさつされたり、コンビニでも声を掛けられたりといった体験をし、台湾の自由さやオープンさを感じたと話す。
世界を旅して演奏することは、鬼太鼓座の重要な仕事だと松田さんは語る。世界各地の観客と交流し、太鼓に込めた思いを伝え、国や宗教、民族間の境界線をなくすのが願いだ。旅行によって理想的な人間同士の関係を整えていくことが地球の未来になるとの考えを明かした。
鬼太鼓座は今後、世界から座員を積極的に募集するという。世界各地にサブグループや拠点を置き、訓練を通じて鬼太鼓座の精神を伝えていきたいと松田さんは期待を寄せる。台湾でもサブグループの立ち上げを目指したいとしている。
鬼太鼓座の公演は25日に台中国家歌劇院、26日に嘉義市政府文化局音楽ホール、27日に台北の国家音楽ホールで開かれる。