(台北中央社)半導体への関税引き上げに意欲を示しているトランプ米大統領。先月27日(現地時間)に行われた演説では「台湾に行ってしまった(半導体関連)企業が帰ってくることを望む」などと述べた。台湾の経済専門家は、米国が半導体に関税を課せば、テクノロジー製品の価格が上昇して米国の消費者の負担が増すと分析している。
台湾で経済誌を発行する財信伝媒の謝金河董事長(会長)は自身のフェイスブックで、チップ、特に先端プロセスによる高性能チップは比較優位の原則に基づく国際分業の結果であり、米国で生産するのは非経済的だと指摘。米国の半導体設計企業は台湾積体電路製造(TSMC)に生産を委託しており、自社の工場を持たないからこそ粗利率が8~9割に達していると説明した。
また、TSMCは中間財を生産しているだけであり、課された関税は全てアップルやエヌビディア、AMDといった米国のメーカーに転嫁され、米国の設計企業にとってコスト転嫁の圧力が増すだけだとした上で、世界中のどこを見渡しても米国企業のために受託製造できるチップメーカーは見当たらないとつづった。
マクロ経済専門家の呉嘉隆氏は中央社の取材に応じ、トランプ氏が検討している半導体などに対する関税引き上げは、台湾だけに対する措置なのか、韓国などの他国にも適用されるのかを注視する必要があると言及。仮に競争相手の他国も対象なのであれば、各企業の交渉力が重要だとした。
呉氏も同様に、TSMCは追加コストをそのまま価格に上乗せできるため、最終的にはテクノロジー製品の小売価格が上昇すると指摘。米国の一般消費者が高い対価を払うことになり、インフレの要因になる可能性もあると述べた。